机上の空想 -on the armchair-

エロゲを中心に(広義の)ビジュアルノベルに関するレビューやエッセイを主な活動にしてるつもりのブログです。6月24日より旧ドメインから正式移行しました。

[旧]エロゲ体験版レビュー

Gahkthuuuuuun!な雑記

ジャイアニズムに言及しておきながら&しれっとサポーター登録しておきながら関連記事を書いてなかった『黄雷のガクトゥーン』関連の更新をついに!

そんなわけで、体験版の感想を軽く書かせてもらおうかなと思います。


黄雷のガクトゥーン応援中!


割とスチームパンクシリーズをプレイ済みな方向けの文章になってる気がしますが、ひょっとしたらなっていないかもしれません☆


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Humanity 一本道エディション

今回紹介するのは、同人サークル・non colorの新作「Humanity」の体験版です。
体験版紹介は2年ぶりっすね…。



近未来のお話。便利な世の中になって、人類は働かなくなった。それではどうしようもないから、代わりに亜人という存在を作り出して働いてもらうことにした。
高野与一は、そうやって生まれてきた亜人の一人。人間たちが都合よく使うため、感情の起伏がなく能力も平均的になるよう作られているはずの亜人。その中にあって、与一とその友人たちは非常に感情豊かな「出来損ない」であった。
そんな彼らが、人間の通う学校に転校することになって……。

こんなあらすじで始まる今作。ここから亜人と人間の軋轢を軸に、我々の倫理観を揺さぶる物語が――とプレイ直前には思っていました。
しかし、しかし。始まったのは息もつかせぬギャグの嵐。どんな場面だろうが主人公たちはボケるのをやめません。感情の起伏の少ない亜人の中ではおろか、人間を含めても大分テンションの高い部類に入ってしまう彼らの馬鹿馬鹿しいやりとりに抱腹絶倒です(本人がおっしゃっていたように、その内容は「間口が広い」…つまりパロネタが少なく、個人的には好印象です)。
とかく、読んでいて「こんなにギャグばっかりやっていては話が進まないのでは?」と不安に駆られるほどの密度のコメディが繰り広げられます。

そして実際、この体験版では(感情的な意味で)ミスフラットの異名をとる亜人・鷺洲というキャラのルートが丸々入っているのですが、他のゲームでいう展開らしい展開はあまりありません。
しかしEDに到達してみると、確かに彼らの関係も人間性も前進していて、それがあまりに自然でした。それは『「人間性」というのは、何も特別じゃない馬鹿馬鹿しい日常に根付いている』、という昨今のシナリオゲーへのアンチテーゼにも捉えられて。うむ、深い(深読みかも知れませんが)。
現段階では設定がまだまだ活かされてないことと、会話の端々から読み取れる亜人と人間の関係性の問題を鑑みると、これからシリアスに向かう可能性も十分ありますが、それはそれで一興。ここまでひたすらコメディ要素を推してきましたが、(あっという間にギャグに流されて長続きしないのですが)シリアスな場面も面白そうと思うほどには散りばめられていたので、どう転ぶにしても期待期待!

あと主題歌スキーとしては、EDと予告で流れたボーカル曲が非常に気になります。しかもそれぞれ違う曲という…。情報が全く出てないのですが、本編やったら流石にわかりますよね? どちらもアコースティクな感じで爽やかないい曲です。
それだけでなく、ライターのはと氏が同時に手がけるBGMはなかなかに良い曲が多かったです。特にベロニカのテーマは、展開が面白くてうっかりフルで聞き入ってしまいました。



5月1日配信のはとらじ(ライターの方がネトラジをやってます)では、もうコミティアで発売できるのが確定しているらしいので、楽しみです。
その際にはこのサークルの過去作も手に入れてみたいと思います。

それでは、以上で。

Indigo 体験版ver2.0 (非18禁)

本日体験版を紹介いたしますのは、同人サークル・半端マニアソフトの「Indigo」です。

6歳の時に、殺人鬼に遭遇してしまった海保一樹。一度は引越しをして平穏に暮らしていたが、高校へ通うために彼はこの街に戻ってきてしまう。つとめて平和に過ごそうとするも、結局奇想天外にも程がある生徒達に囲まれる毎日を過ごすこととなり、彼の思惑は早々に崩れ去った。
そして、彼の住む街には続々と危険人物が集まってくる。爽やかな殺人者を目指す同級生の女の子、片手片足の不良少女、「死ぬ気の暴力がしたい」とのたまう小学生、藍色の時間だけ現れる日本刀を持ったおっさんエトセトラエトセトラ……。
やはりその中で事件に巻き込まれていく一樹。彼は事件を乗り越えた果てに何を見るか――。

このあらすじではあまり表現できてない気がしますが、相当にぶっ飛んだ作品です。
そもそもがこのサークルの作品というのが問題ですね。ご存知でない方は、どの作品かの体験版なりサイトの連載コンテンツなりで彼らの世界に触れてみてください。
全く。
下品。
言葉はぞんざいだし下ネタは全開だし、やっていることは悪ノリそのもの。受け付けない方はここで引き返しても構いません。
しかしです。テキストを初めとした、今回特に際立っているその過激さや奇特さに目が行きがちですが、彼らの物語は読み物エンターテインメントとして十分な完成度でありますし、描かれているキャラクターたちも、中々に変で中には狂っているとしか思えないようなのがいても、ちゃんとした人格として確立されています。今回も、話の筋を見れば「藍色」「殺人」などをキーワードに主人公が困難に巻き込まれていくオーソドックスなタイプ。キャラクターにも、「マボー」と「お姉さま」のやりとりなんかを読んでいると、ぶっ飛んでいるだけでは作れない濃厚さが感じられますね。
この作風が評価を左右するのは確かですが、作風だけで評価を決めていいような単純なサークルではないようです。
こういうことを書いていると、昔知り合いが「本当の馬鹿は馬鹿にはなれない」と言っていたのを思い出しました……。

以前からこのサークルを知ってる人間としては今回の作品は色々驚きです。「え?全年齢?」とか「CGやたら綺麗じゃない?」とか「システムすっきりしすぎじゃない?」とか。なんか普通に企業クオリティの作品っぽそうですね。一体どうしたんだろう……。
……そんな語っておいてなんでリストに作品が入ってないのかというところはノータッチでお願いします(汗)。

んでもって最後に。
本当に、今更気付いたんですが。
ここの代表、ねこねこソフトやコットンソフトで活躍している木緒氏なんですね……(更汗)。どうりで良いものが作れるわけです……。

こんなところで紹介を終わります。
では。

EDEN-最終戦争少女伝説- 体験版

今日紹介します体験版は、同人サークル・LAST WHITEの「EDEN-最終戦争少女伝説-」です。


ぐうたらな学園生、市之倉隆が、担任教師に無理矢理連れて来られた御六島・9日間の旅。学園きっての美少女・栗栖花濡が一緒ということで同行の学園生達は色めきたってるが、生憎彼にはあまり興味がない。突然発見された未開の島なんてものに関心があるわけもなく、貴重な夏休みを教師監視の下で過ごさなくてはいけないことに嫌気が差すばかりだ。
しかし、島に到着してからはそれどころではなくなった。米軍司令官の「死んでもらう」に始まり、仮面の女、数百のロケットヘッド……。そして今、レイプされかけている花濡。屈強な軍人に取り押さえられた彼女を助けようとした勇者はあっさり蜂の巣にされ、助けに行ってもその二の舞……だけどこのままでは彼女が慰みものになってしまう。そこで隆は時間稼ぎに、ある嘘を叫んだ。
しばらくして、その嘘が原因でみんな死ぬことになった。まだ死んだわけではないが、彼らの頭上に落ちてきているアレは世界最大級の――。
絶望的な状況。死を覚悟した彼の胸に去来したのは、ある少女との「心臓と手のひらの契約」の記憶だった。

ゲームが起動してまず思ったこと。
ウホッ、いい声……(;・∀・)
何なのかはやってみてのお楽しみで(笑)。そしてそのインパクトも冷めやらぬまま本編を始めると、更にまた……。どんだけ強烈なんだコイツは。衝撃を受けたシーンを挙げればキリがない。
しかし、展開のインパクトだけで力押していく作品かと思いきや、テキストが中々秀逸。一人称で臨場感溢れる文体に、スクリプトの工夫で話にグイグイ引き込んでくれます。描写も所々に感心するところがあって良。そして、構成が結構巧妙。衝撃的な現在を中心に回想を織り交ぜることで展開に緩急がつき。加え序~中盤に衝撃的な展開をてんこ盛りにすることで、後半語られる主人公の過去を、普通ならやりすぎに感じそうな所をすんなり受け入れさせてくれます。構成に関していえば続編で同じようにできるとは思いませんが、序章として読者を獲得するという点では大成功しているかと。
また絵は、かなり濃い画風なものの高水準といえると思います。塗りと瞳の描き方が独特なので受け入れにくい方もいるかと思いますが。普通でないところも話に引き込む要因になっているかもしれません。
ちょっとシナリオに言及してみると、主人公がヘタレにもヘタレですが、十分に成長の余地がありそうなのが自分には好印象。また「ホルス」「鷹」「象」という用語からモチーフはエジプト神話?かと。これまた渋いところを突いてきますね。このセンスも気に入りました。
そして驚くべきはこの作品、文・絵・音・システム(吉里吉里のスクリプトですが)に至るまで一人でやってらっしゃること。それぞれが独特の作風で完成しつつあるのが凄い。
出オチになる不安もあるにはありますが、展開・設定だけでなく他の面が高水準なのが期待できますね。

この作品、某批評空間でちょっとした話題になったりしました。それだけに知名度も人気も結構あるようで、某SNSのコミュニティは設立二週間しない内に50人を超えました(汗)。同時に建てた他3つは滅びに向かうだけなのに……。




では、以上で。

CHAOS;HEAD 体験版 (非18禁)

今回体験版を紹介するのは、Nitroplus「CHAOS;HEAD」です。


高校二年の西條拓巳は、自らベースと呼ぶコンテナハウスの中で大量の美少女フィギュアに囲まれながらネットに勤しむ、引き篭もり一歩手前の生活を営んでいる。
そのベースが居を構える渋谷の街。そこでは「ニュージェネレーションの狂気」、ニュージェネと呼ばれる猟奇事件が多発していた。集団飛び降り、男性遺体の胃から見つかった胎児など、その奇怪さをテレビやネットなどのメディアは毎日のように騒ぎ立てる。
世情に疎い拓巳も、いつも参加しているネトゲのチャットでその存在を知ることとなる。しばしその話題で盛り上がっていると、突如と「将軍」と名乗る人物が現れ、事件との関わりをほのめかすような書き込みと大量の画像リンクを残していく。用心しつつも画像リンクを誘われるように開いてしまい拓巳は、開いたのを後悔するような凄惨なグロ画像を見てしまう。
そして翌日の下校中、いつも間にか紛れ込んだ路地裏。夢か現かも分からなくなるような不思議な空間の中その先に彼が見つけたのは、血まみれのまま立ち尽くす少女。そして、画像とまったく同じに殺された凄惨な殺人の現場だった――。

印象として思ったのは、凄く凝っている作品だということ。主人公の視点に合わせて360度動く細かい背景や、登場人物の立ち絵の動作、スタイリッシュで整ったシステム周辺。それぞれが突出しているメーカーに比べれば少々見劣りするかもしれませんが、総合的にはレベルが高めだと思います。そしてその割にあまり動作が重くないのも評価できるところかと。
更に、この作品で特徴的なのは分岐の方法。会話中の特定のポイントでポジティブあるいはネガティブに「妄想」することにより、物語が分岐します(体験版内ではホントに分岐してるか分かりませんが)。ポジティブなら萌え萌え(表現が陳腐……)、ネガティブならグロい展開が起こるようです。(自分は最初、何か分岐点で心拍みたいのが出てるのには気付いたんですが、よく分からずに右=ネガティブばかりに分岐してグロ展開ばかり見ました、、泣)。
話の方はといいますと、少なくとも体験版の間は、主人公のイタさに目を瞑れば楽しんで読めると思います。錯綜するように入れ替わる現実と妄想は世界観を如実に表現しているように感じますし、、恐怖描写は結構ワクワクするものがあります。ちょっと絵が可愛すぎるきらいもありますが。問題の主人公はというとなんかもう、理想的なオタク(笑)。ここまでご丁寧にオタクやってる人はそうそう居ない(と思いたい)。まぁ妄想という要素を上手く受け入れさせる良い設定だと思います。
懸念するのは、作中出てくる「ディソード」という要素。謎の剣ってな感じのものなんですが、話の流れが今のところ完璧にサイコホラー・サスペンスなので……最初からファンタジーなら魔法的要素も受けいれられますが、このノリで中途半端にファンタジーを絡めると世界観のイタい作品になってしまわないかとちょっと思ったり。
実はこの作品、非18禁(15歳以上推奨ですが)。エロゲだと思ってTECHGIANで紹介を見てると、「生天目仁美」とか書いてあって焦りました。しかしエロ無し……ちょっと残念な気がしないでもないですが、無意味に18禁にして不要なエロシーンを入れられるよりは随分マシですかね。内容もそんな大人向けでもないような気がしますし(そういうことを言うと大体のエロゲはエロを除くと大して大人向けでもないような違うような……)。


と、こんなところで紹介を終わります。
プレイ本数が同人>>商業なこじらせ系引退気味エロゲーマー。同人ゲーム「MYTH」のファンサークル「MYTH研」の代表として同人誌作ったりもしました。
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ご案内と注意
エロゲ感想の多くは雑感という形で雑記(+簡易感想)に紛れてます。

プレイ済リストや、下の検索欄からご参照ください。

批評空間のarmchairと同じ人です。

好んでいる作品の傾向を見ていただくだけなら、そちらの得点表を見ていただくのが速いかもしれません。

また、同人ゲームの感想をお探しの方は、批評空間でも同じような感想を述べてることがありますので特にご留意ください。


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