あけましておめでとうございます!

(簡易感想ふくめて色々追記にて)



[作品一覧]
CROSS†CHANNEL
Forest
冬のさざなみ
Glare 2



コミケでサークル参加しました(小声)

(売り物もないのに宣伝するのは忍びないと思い)本が完成したら告知しようかなあと思っていたのですが、当日朝会場で製本という顛末になったために事後報告となってしまいました。

これまでのユリイス名義カテゴリの文章は、合同本への寄稿?という形だったので自分自身がサークル参加することはなかったのですが、今回その寄稿先のメンバーの一部と一緒に独自のサークルで申し込みをしてみたところ……受かってしまい、そのまま初のサークル参加とあいなりました。

通知がきてちょっと経った11月もだいぶ過ぎてから企画会議が始まるという体たらくだったために、とても充分な執筆・作業の時間がとれるわけもなく稚拙な本を作ってしまいました。文章の可読性にかかる重大な誤字に数部売った後に気付いてしまいまして、購入していただけた方には本当に申し訳ありません……。
次回あれば――という弱気な姿勢でなく、何回も申し込めば必ずあるだろう次回には胸を張ってお知らせできる出来の本を作りたいと思う所存です。




反省としては、やはり初動は早目にしなきゃならんですね。コミケ合わせで本を準備するんじゃなくて、活動の定例報告をコミケでやるくらいの気持ちじゃないと到底無理だと思いました。
実際以前の寄稿はそう言った形で書いていた文章で、出来はともかく修正改善の余裕がほぼ毎回充分にあったのはそのおかげだったんだなということを今回で確認。肝に銘じたいと思います。








それでは以下、ひさびさの簡易感想ですー

――ちなみに、毎年恒例のおすすめエロゲソング、今年はどうやら出来そうにありませぬ……。
実は昨年の曲をほとんどチェックできていないんですよね。購入した作品の曲くらいは把握してますが、その中から気に入ってるものをチョイスするだけでは大分不十分ですし。
来年やるとしたらそれまでにはチェックするとは思うので、別の機会に出来ればいいなという気持ちです。もし楽しみにしていた方がおられましたら申し訳ありません。






【商業】
○CROSS†CHANNEL
ただでさえやった直後に「他の人がどういう感想を抱きながら絶賛するのか想像もつかない」(別にdisなわけではなく、他の感性を持っている人がどこに注目するのかという予想がしにくいというだけ)というつかみどころのなさを感じていたのに、感想まとめずに3か月放置した結果、思い出しながら感想ひりだすのがかなり難産…。
個人的に一番キたのは、見てしまった、というところでした。ああ、そうだ、そういうものだよ人間っていうのはさ……。そういう部分や結末を含めて、人間って、コミュニケーションってそういうもんだよなという納得をしながら読み進めたのがこの作品でした。
キャラが電波だ狂気だという感想を目にしますが、奇怪に見えるこの作品の各キャラクターの造形というのは、誰もが少なからず持っている(少なくとも台鼎は持っていると感じた)性質の一側面が強調されてるだけであって、全く理解不能というものでは全くなかった気がします。僕はキャラクターのうちの誰とも同じではないけれども、誰とも通じる部分がある……といった感触でした。この作品に限らず「狂気」という評をする人は信用ならないという思いは強まるばかり。
ズドンとは来ないけれど、プレイ後数日間あとを引く感じの作品でした。2000年前後の作品にはそういうものが多い気がしますね。

◎Forest
前評判的にどんな教養主義な作品なんだとおっかなびっくりに触れてみましたが、実は全然そんなことはなく、物語に触れてきた(あるいはそれを人と語らう)経験さえある人なら、少なからずその核心に触れることのできる作品だったのではないかと思います。以下一応ネタバレ配慮の反転。
ストーリーとして舌を巻いたのは「はじまりの物語」。「語り手」と「読み手」、その解釈の応酬で新しい物語が芽吹いていく。ああ、このようなことが可能なのだ……そんな発見と感動を覚え圧倒されながら、かつて幼い日の自分も誰か(きっと家族の誰かであった)とともに同じ形で物語を紡いでいたことがあったなという郷愁に駆られました。(複数ライター作品には「どこが誰の担当だ」という話がつきものですが、少なくともこの作品においては、それは大した意味をなさない……いや意味がないべきであろうと思います。なぜなら、「オリジナルは2人」なのですから)
また、演出の話となると必ず挙がる「夏至の夜の改賊」の音の使い方は聞きしに勝る見事さ。ミュージカルと呼ぶには若干たどたどしさもあるのですが、そういった部分も含めて音・声・韻が一体となった表現が繰り広げられていました。というかここのシーンだけで「フルボイス」という概念が完全に解体されている。すごい。(逆に言えば、エロゲの音声演出停滞しすぎやろという感想も持ちました)
そういったところに刺激を受ける一方で、「完全」を強調しそこへの到達を目指すような終盤の展開には違和感。「語る」「読む」「語り継ぐ」「踊る」……物語の伝搬がいずれの過程を経るにしても、たった一つの完全というものイメージからは程遠い存在になっていくのではないかなと思うんですよね。しかし思えばこの作品、その「元ネタ」の多くは原典……明確な「創り手」が存在する「児童文学」であって、民話や童話の類ではないというのがポイントなのかもしれません。「読み手」が受け取る形はいくつあろうとも、その読み手が個々の「語り手」となった際にが手がける物語自体には望むべき完成形がある……という描像なんでしょうか。それでも、飛び散った「かけら」が紙片をなすことも同様に描かれているわけで、それと同様に必ずしもその完全が望まれるものではないのではないか、と個人的には思います。
僕にとっての物語は、やはり「神話」という形がしっくりきますね。そんなわけで『MYTH』について一つ書いておきたいところです、というどうでもいい感想。
(ついでにどうでもいい考察:伽子ちゃんって過去のダジャレな気がするというかそういう表現作中であったよね)


【フリー】
◎冬のさざなみ
好感触の同人ゲー感想は最近批評空間に先に投稿しがちなので(PV数が段違いなのでその方が布教として有効なんですよね……)、とりあえずはそちらを先に見ていただけると嬉しいです。
付け加えるとすれば――『夏のさざんか』の関連作でもあるようなので先にプレイしておくべきだったかもとは思ったものの、実は『パコられ』の主人公の顛末としては好きでも、『パコられ』の続編としてはそこまで好きじゃないからさして重要じゃないかもしれない、などと。矛盾した言い方だと思うのでどういうことか説明しますと、『パコられ』の気に入ってる部分の一つとして、その後が描かれていないというところがあるからです。真相が不鮮明なことによって、その部分に対する勝手な想像が繰り広げられてしまうというところにも、プレイヤーが自分の闇に向き合わせられる面があったと思うんですよね。その想像の方向性が狭まってしまうという点ではあまり続編として見たくはありません。ただ、『パコられ』という作品で語られた設定を持った「誰か」の物語としては、とても響くものだったように思う……そんな感じでございます。

○Glare 2.00
(やはり言うほど付け足しがないので批評空間よりコピペ)
グレアちゃんかわいい!(それしか言うつもりがない)
…とはいえ、SF的で面白いテーマがエピソードの芯だったのでそこについてちょっとだけ。
グレアの直面したものというのは、実は人間にも同じようなことが言えなくもなくて、たとえば「この脳に宿っているのはただ一つの自分なのか」「右脳と左脳が分かれたら二つの人格に分裂するのか」などということを考えたとき、それに解答を与えることはハードプロブレムで、今でも心の哲学という分野において議論されつづけている問題です。
そんな心の哲学における仮説の一つに、「意識の百鬼夜行(パンデモニアム)」という、意識とはたった一つの中心から成るものではなくて、並列したプロセスが百鬼夜行のような形で存在している状態のことを言う……という主張が存在しまして、まあ証明はされていないのですが否定もできないわけで、人間ですらそんなことが言われてしまうわけです(ちなみに個人的には支持している説です)。
だからそんなわけで、少なくともそういう点において「人間とは違う」なんて気に病む必要はないんじゃないかな、と、そんな言葉で慰められるかはわからないですが、愛すべきメイド家電に伝えてあげたくなったり。

(コピペここまで)
ちなみにタイトルパネルは全部開けているので、もし全く分からんが頼れるところがこのブログしかない!!!という奇特なお方はお気軽にご質問を。ヒント程度ならお答えできます。某倉庫で「家電」検索した方が早い気がしますが。
ところでアヤカシガミマダー




昨年にプレイした作品で☆評価にしたものは結局なかったのですが、悪い年というわけでもありませんでした。
最大の収穫は、『パコられ』『冬のさざなみ』2作、ゆにっとちーず作品との出会いですかねー。抜き方向の作品だと敬遠してしまうかもしれませんが、新作は出来る限り応援していきたいサークルさんになりました。


あと、自分がそういう意識を抱えてるからというのはもちろんあるのですが、物語論はコミュニケーション論に、コミュニケーション論は物語論に――それが物語として描かれている限り――必然的に接続してしまわざるをえないような感触を、ここ最近に触れた作品をとうして感じております。
そんなわけで、まあとりあえず次の同人誌発行に向けて『MYTH』と『Forest』それぞれの文章を書きためておきたいと思います。